The Drumming of ”Beat Music” Generation 〜カテゴリ別考察:GOSPEL CHOPS編〜

モダン・ドラミング以降の新世代ドラミングを考察、研究する試みエッセイです。
これは「概要記事」に対する詳細記事になります。


*GOSPEL CHOPS編で紹介するドラマーたち
Dana Hawkins
Justin Tyson
Joe Dyson
など(追加するかも)

※お断り
この文章は全て私の主観的で独断的な判断、考察、研究をもとに書かれております。そのため、事実と異なる部分や間違った情報が存在しうることを予めお伝えしておきます。ドラムという楽器の1つの考え方として軽い気持ちで読んでいただければ幸いです。「ここはこういう考え方もできると思う」「ここは完全に間違ってるよ」と言ったご意見はソースと共に教えて頂けると大変助かります!

 


これから紹介するのは教会〜ポップスという「正統派ゴスペルチョップス!!!」というドラマーではなく、そこにルーツを持ちつつも、別の文脈も取り込み血肉化したハイブリッドなドラマー達。
正統派ゴスペルチョップス系のドラマーはホールや教会といった「デカい箱」での演奏が多い印象で、ポップスのバックなどで名を知らしめる人も多いです。
そうした正統派ゴスペルチョップスが大流行している時代の中で、少し変わったチョップススタイルを確立している彼らをご紹介。

⑴Dana Hawkins
Evan MarienとのDUOで突然現れた俊英ドラマー!
▼Sweaten / Evan Marien and Dana Hawkins
5拍子のスムースな名曲!リニアでメカニカルなドラムフレーズと後半の怒涛のソロが非常にかっこいいです。
Jazz編でも紹介したJustin BrownともEvan Marienはやっています。Evan Marien、重要人物。
▼Cali
Danaの特徴的なところはスムースさだと思います。ゴスペルチョップスなのに特有の「圧」がそこまでなく、エレクトロニックでクールな質感がDanaの持ち味です。個人的にはこの感じがすごく好きです。
EvanのフラットさとDanaのエレクトロな冷ためドラミングの相性がバッチリ。
▼たまに危ないチョップスがあってエモい曲、The Eldridge
Danaを好きになったのはこの動画をみた時でした。たまに危ない瞬間があって、そこがたまらなくエモい。クールなのにエモい、この相反する感じ新しいな、と思ったのでした。
▼昔のジャムセッションの映像。爆速でThe Chickenをやっている
現地感というか、地元感というか、遊びに来たぜ〜!おりゃ〜〜!!感があってとても好きな動画です。こうしてみるとかなり気合の入ったプレイも流石で、やっぱりドラムはフィジカルな楽器だなと思い知らされます。ジャズっぽい感じも強いと思います。

 


⑵Justin Tyson
歌いまくるバスドラムが超グルーヴを生むしなやかハイテクドラマー。
▼Now vs Nowでの7拍子ソロ
これやばくないですか。ゴスペル的なかっこよさ、エグさ、メカニカルさ、アツさ、パワー、全部入りなんですよ。
キレッキレのショットと歌いまくる連符にノックアウトされます。Now vs Nowの同じ曲の違うテイクもYouTubeにあったのですがなくなってしまいました。Blue Whaleでやっているやつで、そちらもとんでもなかったので紹介したかった、、、。
▼Robert Glasper Experiment
彼は最近Chris Dave, Mark Colenburgの後任としてRobert Glasper Experimentにも参加しています。
バンドとしては、ヒップホップ感が弱くなりロックバンドっぽくなった印象です。相変わらずソロになるとすごいです。16分〜6連〜32分のチェンジアップが鮮やか!
▼R+R=NOW
Robert Glasper Experimentでの活動を通してグラスパーのお気に入りになったのか、新バンドにもドラマーとして参加しています。
ストレートでパンチのあるグルーヴとキレキレのソロがめちゃくちゃかっこいいです。
このバンドはブラック・グルーヴ・アンビエントとでもいうような、新たな音楽性を持っていると思います。まさに”Beat Music” Generation。
▼R+R=NOWでのサウンドメイクについて語る動画
かなりサスティンの短いべたっとした音にしてるみたいですね。打ち込みっぽさを求めるとタムをシングルヘッド(裏のヘッドを外す)にするの、めっちゃわかる。

補足)R+R=NOW結成のきっかけになったSXSWのセッション

(このバンド、実は結成のきっかけになったこのSXSWのセッションの時はMarcus Gilmoreだったんですよね、なんかワケあり感、、、笑)

 


⑶Joe Dyson
Tastyな歌が魅力的なハイブリッドレイドバックグルーヴ!
彼はChristian ScottのバンドでCorey Fonvilleと一緒にツインドラムをやっていたりします。
Coreyがファンキーなグルーヴ担当ならJoeは攻撃担当とでも言うような感じ。
粘っこくパンチの効いたドラミングで、ジャズ感ありつつもゴスペルチョップスをルーツに感じる硬い音色がかっこいいです。
▼CANOPUSのドラムを紹介する動画
ジャズ的な歌い回しながらゴスペルっぽいフレーズを連発していてかっこいいです。
音がとにかく太くて、Justin Brownよりも重心低めな感じがゴスペルルーツを感じさせます。ゴスペル・ジャズ。
▼Mark Whitfield Jrとセッションする模様
Markがトラディショナルなタッチや歌い回しなのに対して、Joeが結構ベタベタした音色やフィールなのがお分りいただけるかと思います。ドラムのチューニングやチョイスもありますが、それを除いてもフィールが重ためです。めっちゃジャズなんだけどベタっとしていて、チョップスぽいフレーズの時にすごいイキイキとする感じ、やっぱりゴスペル側のドラマーなんだなと思います。
▼The Bridge Trio
内容はジャズフュージョンという感じですが、バスドラのきき方がやっぱり良いですね。終盤(7:00〜)のソロでゴスペルチョップスを混ぜ込んでくるのがJoeらしい。ちょっとDanaやJustinぽさもあります。「ゴスペルっぽさ」の要素の1つとして、連符のチェンジアップが挙げられるなと最近思ってます。